Peppolと銀行APIがつながると、経理はどう変わるのか?

~2030年の経理を考える【第3回】~

税理士の田辺亮介でございます。

前回は、「Peppol(ペポル)」が請求書をデータでやり取りするための共通ルールであることをご説明しました。

今回は、そのPeppolに銀行APIが加わると、経理はどのように変わるのかを考えてみたいと思います。

もしかすると、10年後に振り返ったとき、2026年は「経理が大きく変わり始めた時代」だったと言われるかもしれません。

そもそも銀行APIとは?

銀行APIとは、銀行口座の入出金データを、会計ソフトなどへ自動で連携する仕組みです。

以前は、

· 通帳を記帳する

· インターネットバンキングから明細をダウンロードする

· 会計ソフトへ取り込む

という作業が必要でした。

しかし銀行APIを利用すると、入出金データが自動で会計ソフトへ取り込まれます。

すでに多くの会計ソフトで利用されており、「入力する」という仕事は以前より大きく減っています。

Peppolと銀行APIがそろうと…

ここでPeppolを組み合わせてみましょう。

例えば、ある会社が100万円の請求書を発行したとします。

今まで

① 請求書をPDFで送る

② 相手が手入力する

③ 銀行へ振込

④ 通帳を確認する

⑤ 会計ソフトへ入力する

人が何度も同じ情報を見て、入力していました。

これから

① Peppolで請求書をデータ送信

② 相手の会計ソフトへ自動登録

③ 銀行APIで入金データを自動取得

④ AIが請求書と入金を照合

⑤ 自動で消込・仕訳を提案

つまり、

「請求書」と「銀行取引」がデータでつながるようになります。

経理担当者の仕事は「入力」から「確認」へ

これまでは、

· 金額を入力する

· 日付を入力する

· 消費税区分を入力する

· 相手先を入力する

という仕事が中心でした。

しかし今後は、

システムが入力した内容を

「正しいか確認する」

ことが仕事の中心になる可能性があります。

もちろん例外的な取引や特殊な処理は人が判断します。

しかし、日常的な取引ほど自動化が進んでいくでしょう。

社長にとってのメリット

経理担当者だけではありません。

社長にも大きなメリットがあります。

例えば、

リアルタイムで会社のお金が見える

月末にまとめて入力するのではなく、

毎日の取引が自動で反映されるようになれば、

· 売上

· 入金

· 資金繰り

を、より早く把握できるようになります。

経営判断もスピードが求められる時代です。

情報が早く見えることは、大きな武器になります。

会計事務所の仕事も変わります

会計事務所も同じです。

今までは、

「帳簿を作る」

ことに多くの時間を使っていました。

しかし、

Peppol

銀行API

AI

この3つがそろえば、

帳簿作成の時間は大きく減るでしょう。

その分、

· 節税対策

· 資金繰り

· 利益改善

· 設備投資のタイミング

· 事業承継

など、

「経営の相談」

により多くの時間を使えるようになるかもしれません。

では、記帳代行はなくなるのでしょうか?

私は、

「なくなる」のではなく、「役割が変わる」

と考えています。

現金取引が多い業種や、データ連携が難しい取引は、今後もしばらく人の手が必要でしょう。

また、自動で取り込まれたデータでも、

· この支出は経費になるのか

· 消費税区分は正しいのか

· 固定資産なのか消耗品なのか

といった判断は、専門知識が欠かせません。

つまり、入力という作業は減っても、「正しく判断する」仕事の価値はむしろ高まると考えています。

2030年の経理は「つながる経理」へ

私は、2030年頃の経理は、

「入力する経理」

ではなく、

「データがつながる経理」

になっているのではないかと考えています。

· 請求書はPeppol

· 預金は銀行API

· クレジットカードも自動連携

· キャッシュレス決済も自動連携

· AIが仕訳を提案

こうした仕組みが当たり前になれば、経理担当者は入力作業から解放され、より付加価値の高い仕事に時間を使えるようになります。

次回予告

次回は、

「PeppolとAIで、記帳代行は本当に不要になるのか?」

というテーマで、税理士業界の未来について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

経理の仕事はなくなるのでしょうか。

税理士の仕事はAIに奪われるのでしょうか。

私は、答えは「NO」だと考えています。その理由を、次回詳しくお話しします。