2026年、まだ誰も知らない「Peppol(ペポル)」。でも5年後には当たり前になっているかもしれません。

~2030年の経理を考える【第1回】~
税理士の田辺亮介でございます。
「ペポルって何ですか?」
最近、この言葉を耳にする機会が少しずつ増えてきました。しかし、私の顧問先の社長さんで「知っています」と答えられる方は、ほとんどいらっしゃいません。でも、私はこの状況を見ていて、ある出来事を思い出します。
2018年頃、「インボイス制度」を知っていた社長さんは少数でした
今では「インボイス」という言葉を知らない事業者はほとんどいないでしょう。しかし、制度開始の数年前である2018年頃はどうだったでしょうか。
「インボイス制度が始まります。」
「適格請求書保存方式になります。」
そう説明しても、多くの社長さんは
「それは何ですか?」
という反応でした。
ところが、2023年10月に制度が始まると、状況は一変しました。
登録番号、仕入税額控除、免税事業者への対応…。
あっという間に、全国の事業者が知る言葉になりました。
今のPeppolは、あの頃のインボイス制度によく似ています
もちろん、インボイス制度とPeppolは同じものではありません。インボイス制度は法律です。一方、Peppolは請求書をデータでやり取りするための「共通ルール(通信規格)」です。つまり、紙やPDFではなく、請求書そのものをデータとして安全に送受信する仕組みです。
現時点では、まだ「知らなくても困らない」という方がほとんどでしょう。しかし、私はこの状況が数年後も続くとは思っていません。
普及のきっかけは「法律」ではなく「取引先」
インボイス制度は法律によって全国へ広がりました。一方で、Peppolは別の形で普及していく可能性があります。
それは、
「大手の取引先から求められる」
という形です。
例えば、
「来年から請求書はPeppolで送ってください。」
そんな依頼が、大企業や上場企業から取引先へ出始めるかもしれません。
大企業にとっては、請求書をデータで受け取ることで、
- 入力作業が不要になる
- 人為的なミスが減る
- 支払処理が速くなる
- 経理業務を自動化できる
という大きなメリットがあります。
取引先にも同じ方式を求めるのは、ごく自然な流れと言えるでしょう。
2030年の経理は大きく変わるかもしれません
私は税理士として、今後の経理は次のように変わっていくと考えています。
- 請求書はPeppolで自動連携
- 銀行取引はAPI連携で自動取得
- クレジットカードやキャッシュレス決済も自動連携
- AIが仕訳を作成する
つまり、「会計ソフトへ入力する」という仕事は、これまでより大幅に減っていく可能性があります。
もちろん、すべての会社がすぐにそうなるわけではありません。
しかし、技術の進歩を見ると、この方向へ進んでいく可能性は十分あると感じています。
今すぐ導入する必要はありません
この記事を読んで、
「急いでPeppolを導入しなければ!」
と思う必要はありません。
2026年現在では、多くの中小企業にとって、まだ様子を見てよい段階です。
ただ、一つだけお伝えしたいことがあります。
「知らない」と「知っているけれどまだ導入していない」は、大きく違います。
数年後、取引先から
「Peppolで請求書を送ってください。」
と言われたとき、
「ああ、あれのことか。」
と思えるだけでも、慌てずに対応できます。
次回は「Peppolとは何か?」をできるだけ分かりやすく解説します
今回から「2030年の経理を考える」というシリーズを始めます。
これから数回にわたり、
- Peppolとは何なのか
- なぜ世界で普及しているのか
- 中小企業への影響
- 税理士業務はどう変わるのか
について、できるだけ専門用語を使わずにお伝えしていきます。
2030年の経理は、今とは大きく姿を変えているかもしれません。
その変化を、一緒に考えていきましょう。

