令和7年度税制改正(法人税編)

 

税理士の田辺亮介です。3月も上旬の終わりを迎え、今年の所得税確定申告業務もまもなく終盤を迎えております。春がもうすぐですね。

所得税確定申告が一段落すると同時に、3月決算法人の確定申告業務の時期がやってまいります。引き続き、気を抜かずにしっかりと業務にあたってまいりたいと思います。

令和7年度の税制改正では、「防衛特別法人税」の導入が予定されており、企業に対して法人税額の4%を追加で課す形で防衛費の財源を確保する仕組みとなっています。これは、日本の防衛力強化のための安定的な資金源を確保する目的で設けられたものです。

ロシア・ウクライナ戦争と世界の防衛環境

2022年に始まったロシア・ウクライナ戦争は、世界の安全保障環境を一変させました。ウクライナは長期的な戦争に対応するため、NATO諸国からの支援を受けつつ、自国の防衛体制を強化しています。一方、ロシアも軍事支出を増加させ、2024年には国防予算を大幅に拡大しました。

この戦争は、「戦争は21世紀においても現実の脅威であり得る」という事実を世界に再認識させました。特に、日本のような島国であっても、国際情勢の変化は直接的な影響をもたらす可能性があります。

日本人は自国の防衛をどう考えるべきか

日本は長らく「専守防衛」の方針を採用してきましたが、近年の安全保障環境の変化を受けて、防衛力の強化が避けられない状況となっています。中国の軍事的台頭、北朝鮮のミサイル発射実験の頻発、ロシアによるウクライナ侵攻といった事例が、日本の安全保障の課題を浮き彫りにしています。

こうした状況の中で、以下の3つの視点から、日本人は防衛について考えていくべきでしょう。

防衛力強化のためのコスト負担をどう受け止めるか

防衛特別法人税の導入は、国全体で防衛費を確保するための施策です。これは企業負担となるため、経済界からは懸念の声もありますが、安全保障の確立なくして安定した経済活動も成り立ちません。企業・国民がどの程度の防衛費負担を許容するのか、冷静な議論が必要です。

国際社会との連携と外交の重要性

防衛力強化だけでなく、外交を通じたリスク回避も不可欠です。日本は日米同盟やクアッド(日米豪印)といった枠組みを活用しつつ、国際社会と連携して安全保障を強化することが求められます。

国民の防衛意識の向上

日本では防衛に関する議論がタブー視される傾向がありますが、世界の現状を踏まえれば、防衛について真剣に考えることが求められます。徴兵制ではなくても、災害時の自衛隊の役割、サイバー攻撃への備え、個人が取るべき防災・防衛対策について学ぶ機会を増やすべきです。

まとめ

防衛特別法人税の導入は、日本の防衛費を安定的に確保するための重要な施策ですが、それは単なる「増税」ではなく、「国の安全保障のための投資」としての側面を持ちます。ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、日本は「戦争を防ぐための備え」として防衛をどう強化すべきか、国民全体で議論することが不可欠です。